剣道の礼とマナーとしての礼の比較表
項目 | 剣道 | 一般マナー |
目 的 | 対人的格闘技であるから、常に相手の人格を尊重し、互いに身体を鍛え、技を錬磨し、心を養うためのよき協力者として、心から尊敬と感謝の念をはらう。 | 礼儀心得の基本は、相手や周囲の人たちに不愉快な気持ちを持たせないようにし、その上で相手を思いやった言動や行動をするコミュニケーションの入り口です |
傾斜角度 | 敬礼=30度 神前・正面・上座・上席・師など 互礼=15度 お相手(試合や稽古時) |
最敬礼=45度(謝罪、感謝など) 敬礼=30度(一般的なお辞儀) 会釈=15度(通りすがりなど) |
挨 拶 | 同時礼 「言葉とお辞儀が同時」 |
分離礼・・・丁寧 同時礼・・・略式 |
剣道の礼の考え方
剣道は「礼に始まり礼に終わる」と言われるように、特に礼儀作法を重んじ、厳格に執り行われます。
剣道は相手を打つ、突くなどして、相手を攻撃する対人的格闘技であるから、常に相手の人格を尊重し、互いに身体を鍛え、技を錬磨し、心を養うためのよき協力者として、内には心から尊敬と感謝の念を持ちつつ、外には端正な姿勢をもって礼儀正しくすることは、互いにより良い剣道を築き上げていくうえで、大切なことであり、ひいては好ましい社会的態度の育成につながるものです。
また、剣道は対人的格闘技であることから、ややもすると感情的になったり、過度に闘争的本能が現れてしまう場合があります。
剣道を修練するなかで、定められた礼儀作法を厳格に執り行うことにより感情や闘争本能を人間として統御していくところに、剣道における礼の意義があります。
礼法(礼儀作法)
礼は対人関係や社会の秩序を円滑に維持し、自己の錬磨と修練につながるもので、礼法は遊戯や娯楽の気分を排除し、誠実かつ丁寧に行わなければならない。
また、基本的に、武士は戦闘者であったことから、その日常では、いつ何時、何処にいても油断のない厳粛な所作や行動が求められていた。
剣道の礼法には、こうした武士の日常における行動様式の考え方が受け継がれている。
剣道の礼法には「立礼」と「座礼」があり、その手順が定められている。
立礼
起立の姿勢で礼をすることを「立礼」という。
古くは立礼には上体を前傾させる角度によって、「三節の礼」があるとされている。
・神前への礼
最敬礼で、約45度前傾させる
・師への礼
敬礼で、約30度前傾させる
・同輩への礼
会釈で、約15度前傾させる
現在では
・神前・正面・上座・上席・師などは
敬礼で、約30度前傾させる
・お相手には
相互の礼で、約15度傾斜させる
座礼
正座の姿勢で礼をすることを「座礼」と言います。
方法
・正座の姿勢で相手に注目する。
・背筋を伸ばしたまま腰から上体を前方に傾けつつ、両手を床につける。
・肘を曲げながら静かに頭を下げる・
およそ一呼吸程度その姿勢を保った後、静かに元の姿勢に戻して相手に注目する。
剣道での礼法の中には「挨拶の言葉の発し方」は明記されていません。
従って、よく見かけるパターンとして、立礼・座礼ともにお辞儀をしながら言葉(同時礼)を発しています。
そうなると、言葉は床に向かって発することになります。
ビジネスマナーとしての礼儀(礼の仕方)
一般的に礼は社会の秩序を保つための慣習で、「丁寧に応接する」ことや「挨拶をする」「おじぎする」など、形よく整った態度や作法のことであり、人の守るべき節度ある正しい行いを言います。
会社員であるとないとに関わらず挨拶の作法は人としての基本だが、きちんとできていない人が意外にも多い…。
礼儀心得の基本とは何でしょうか。
礼儀心得の基本は、相手や周囲の人たちに不愉快な気持ちを持たせないように常に自己の言動を考えることである。
こう言ったら相手はどう感ずるだろうか。
このようにしたら相手は不快にならないだろうか。
今黙っていると相手はどう思うだろうか。
常に相手のことを第一に考え自己の言動を反省することである。
礼儀の基本は、碁や将棋の定石(じょうせき)のようなものだから、是非一応は心得ておかねばならないが、相手は千変万化するから、いつでも基本どおりにやれば相手を不愉快にしないというものではない。
相手に応じてその都度、変化対応せねばならないのが礼儀である。
そのためには、常に相手の気持ちを正確に察知しようと心掛けることが礼儀の大切な心得である。
礼儀の基本は「相手の立場に立つ」ことです。
無人島で一人暮らしをするならば自分が生き延びることだけ考えれば良いですが、私たちの生活には“相手”がいるので、相手の立場に立つ姿勢が礼儀に表れるのです。
お辞儀の角度は、3種類と覚えよう。
会釈=15度(通りすがりなど)
敬礼=30度(一般的なお辞儀)
最敬礼=45度(謝罪、感謝など)
わざとらしくなく、さらりと出来ると好印象。そして挨拶は先手必勝! されて嫌な気がする人はいないのだから、率先して行おう。
礼儀の3段階
ビジネスマナーセミナーに参加したときに礼儀には3段階あると習いました。
1.相手が不快に思わない
2.相手が大切にされていると思う
3.相手が嬉しいと思う
1→2→3の順で難易度が上がりますが、まずは相手を不快に思わせないことが礼儀の入り口です。
ことわざにも「己の欲せざる所は人に施す勿れ」とあり、家庭や学校でも「自分がされて嫌なことは人にもしちゃいけないんだよ」と教えられました。
まずは不快さを与える言動に慎み、その上で相手を思いやった言動を取っていくのですね。
あいさつとお辞儀、どっちが先?
「語先後礼」という言葉があるように、まず、あいさつ言葉を先に述べてから頭を下げます。
あいさつ言葉を述べるときは、相手の目を見ること(アイコンタクト)も大切です。
お辞儀をキレイに見せるコツ
キレイなお辞儀のコツですが、腰から頭まで背筋をまっすぐ伸ばして倒すこと。
そして、倒すときが1だとすると、起こすときは2くらいのカウントで起こします。
さらに、ゆっくりと起こすと丁寧さが増します。
また、最敬礼はもちろん、敬礼や会釈でも立ち止まってするのが望ましいです。立ち止まってするお辞儀を「静止礼」と呼びます。
分離令と同時礼
ビジネスマナーで重要視される「分離礼」の意味や使い方などについて、詳しく解説していきたいと思います。
「分離礼」とは
「分離礼」とは、挨拶の作法の一種で、「先に挨拶の言葉を述べてから、その後でお辞儀をするやり方」を意味します。
言葉による挨拶とお辞儀のタイミングが分かれていることから、「分離礼」と呼ばれています。接客サービスなどの職種で、お客様のお出迎えやお見送りの際などに用いられます。
読み方は、「ぶんりれい」になります。「語先後礼(ごせんごれい)」と呼ばれることもあります。
「分離礼」の流れ
「分離礼」は、以下のような流れで行います。
まず、姿勢を美しくして立ち、視線をきちんと相手に向けてから、挨拶を述べます。
その後、上体を倒してお辞儀の動作に移ります。頭をしっかり下げ終わったら、そのまま姿勢を一旦止め、それからゆっくりと上体を起こすという流れです。
「同時礼」とは
「挨拶の言葉とお辞儀とを同時に行うやり方」という意味の言葉です。
例えば、同僚などと廊下ですれ違う際、「お疲れ様です」の一言と同時に行う一礼が、これにあたります。
挨拶の作法としては、略式のものにあたります。これに対し、挨拶とお辞儀を別々に行う「分離礼」は、お客様の送迎や、改まったお礼などの場面で使われます。
作法としては、こちらの方がより丁寧で正式なものであるとされています。
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